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音楽・美術の旅 メールニュース

Vol.241 2017.11.16

 
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コラム

オペラの殿堂、よき時代そしてこれから

 

スカラ座といえばオペラの殿堂であり“歌い手”の檜舞台である。長い歴史の中で聴衆を魅了するばかりでなく、話題には事欠かなかったマリア・カラスの存在がやはり中心になるように思う。1951年、「シチリア島の夕べの祈り」でデビューを果たすと、「ノルマ」、「ランメルモールのルチア」、「椿姫」がピエルマリーニの舞台を彩った。

また、同期を生きた、レナータ・テバルディやジュリエッタ・シミオナート、男声ではジュゼッペ・ディ・ステーファノ、マリオ・デル・モナコ、フランコ・コレルリ、バリトンのエットーレ・バスティアニーニ、バスのチェーザレ・シエピなどがオペラ黄金期である20世紀中ごろまでを沸かせたタレントといえる。

また、そのような隆盛を極めた時代には必ず優れた指揮者が傍らにいるという背景があった。大指揮者、アルトゥーロ・トスカニーニの下でスカラ座の副指揮を務めたトゥリオ・セラフィンは、その後の複数年をマエストロ・トスカニーニと行き来するように音楽監督に就き、ヴィクトル・デ・サバタ、そしてカルロ・マリア・ジュリーニがその後につづく。その上、珠玉の客演が名を連ねた時代でもあり、1960年ほどまでがひとつの区切りと言えるだろう。

しかし、それ以降すべてが色褪せてきているわけではない。晩年までスカラ座にロマン派の憂いを、与えつづけたジャナンドレア・ガヴァッツェーニ、知的ながら自然な叙情性あふれる響を追及したクラウディオ・アバド、楽譜に忠実でありまた厳格でありながら、音楽の中に潜む隠れた特性を引きだす能力が抜きんでていたリッカルド・ムーティなど、今世紀のはじめまで歴代の音楽監督たちには黄金と真紅に染まったスカラ座が似合いすぎていた。

それは、ミレッラ・フレーニ、レナータ・スコット、フィオレンツァ・コッソット、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ピエロ・カップッチルリ、レナート・ブルゾン、ニコライ・ギャウロフなどの名歌手についても同様であり、そのようなカリスマが舞台に現れると当日券を求め、桟敷席に並ぶことさえままならぬ状態が続いたものである。

世紀をまたぎその殿堂にも翳りが見えはじめている。もちろんスカラ座だけのことではない。教え伝えるという教育の衰退、何よりも伝統を重んじる指導者不足が、正当なアーティストの育成を妨げることになった。自然であった舞台へのリズムが、歯車が狂ってしまったのである。カリスマどころか、イタリアオペラをきちんと歌えるアーティストの減少は、この国の宝玉文化の伝承に暗雲をもたらしている。

 

 

堂満尚樹(音楽ライター)

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ピックアップ

≪仮受付中≫

音楽評論家 加藤 浩子と行く メトロポリタン・オペラ&ボストン9日間<2018年4月1日出発>

 

メトロポリタン歌劇場にて、ヴェルディのルイザ・ミラーとドニゼッティのランメルモールのルチア、ボストン・シンフォニーホールにて、ボストン交響楽団のコンサートを鑑賞するツアーです。

滞在先は、ニューヨークではル・パーカー・メリディアン、ボストンではマリオット・コープリープレイスと、観光に至便な四つ星ホテルをご用意しております。メトロポリタン美術館・ボストン美術館への見学も、オプショナルツアーとして設定がありますので、音楽だけでなく美術も存分にお楽しみいただけます。

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旅行代金には下記公演のチケット代が含まれます。

 

★4月2日(月)19:30開演
メトロポリタン歌劇場
ヴェルディ《ルイザ・ミラー》指揮:J.レヴァイン 出演予定:P.ドミンゴ、S.ヨンチェーヴァ、P.ベチャワ、L.サルシ、A.ヴィノグラドフほか


★4月3日(火)19:30開演
メトロポリタン歌劇場
ドニゼッティ《ランメルモールのルチア》指揮:R.アバド 出演予定:O.ペレチャッコ、V.グリゴーロ、M.カヴァレッティほか


★4月7日(土)20:00開演
ボストン・シンフォニーホール
「ボストン交響楽団コンサート」指揮:A.ネルソンス 出演予定:J.カウフマン、C.ニールンド、藤村実穂子、G.ツェッペンフェルト
ほか

ワーグナー≪ジークフリート牧歌≫

ワーグナー≪歌劇「トリスタンとイゾルデ」第2幕≫

 

別料金(別手配)にて、メトロポリタン歌劇場での新制作《コジ・ファン・トゥッテ》ならびに《トゥーランドット》も鑑賞可能です!         


旅行期間:2018年4月1日(日)~4月9日(月)


旅行代金:748,000円

燃油サーチャージが別途必要となります。また、成田または羽田空港使用料・保安サービス料および現地空港諸税が必要となります。

 

ピックアップ

≪仮受付中≫

音楽評論家 加藤浩子と行くバッハへの旅13日間<2018年6月7日出発>・11日間<2018年6月9日出発>

 

ライプツィヒ、アイゼナッハ、ミュールハウゼン、ヴァイマール、オールドルフ、アルンシュタット、ドルンハイムに滞在します。

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旅行代金には下記公演のチケット代が含まれます。

 

<13日間コースのみ対象>

★オープニングコンサート★
◆6月8日(金)17:00開演
~聖ト―マス教会~
ゲヴァントハウス管弦楽団&聖トーマス教会合唱団
指揮:G.シュヴァルツ ソリスト:G.ゼーマン、S.カーレ他
J.S.バッハ《トッカータとフーガ ニ短調BWV565》
J.S.バッハ《ミサ曲 ヘ長調BWV233》ほかメンデルスゾーン、J.H.シャインの作品

 

<13日間コースのみ対象>
◆6月9日(土)12:00開演
~聖トーマス教会~
アムステルダム・バロックオーケストラ
指揮:T.コープマン ソリスト:M.エンゲルチェス、K.メルテンスほか
J.S.バッハ《カンタータ「彼らはみなシバより来らん」BWV65》
J.S.バッハ《カンタータ「イエス眠りたまえば、われ何に頼るべき」BWV81》
J.S.バッハ《カンタータ「われは満ち足れり」BWV82》ほか

 

<13日間コースのみ対象>
◆6月9日(土)17:00開演
~聖トーマス教会~
バッハ・コレギウム・ジャパン
指揮:鈴木 雅明 ソリスト:H.モリソン、R.ブレイズ、櫻田 亮、D.ヴェルナー
J.S.バッハ《カンタータ「暁の星のいと美しきかな」BWV1》
J.S.バッハ《カンタータ「天の王よ、よくぞ来ませり」BWV182》
J.S.バッハ《カンタータ「天は笑い、地は歓呼す」BWV31》ほか


◆6月13日(水)20:00開演
~ゲヴァントハウス(大ホール)~
アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル
J.S.バッハ《ゴルトベルク変奏曲》、ベートーヴェン《ディアベリ変奏曲》


◆6月14日(木)20:00開演
~聖トーマス教会~
ラ・シャペル・レナーヌ

指揮:ブノワ・アレ
J.S.バッハ《マタイ受難曲》


6月16日(土)のコンサートは下記いずれかをお選びいただきます。


◆6月16日(土)20:00開演
~聖ニコライ教会~
コレギウム1704

指揮:V.ルクス
J.S.バッハ《ブランデンブルク第1~3番》ほか


◆6月16日(土)20:00開演
~旧帝国裁判所建物~
アンドレアス・シュタイアー チェンバロリサイタル
J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集 第1部 BWV846~857》
ゲオルク・ベーム《前奏曲とフーガ ト短調》ほか


★ファイナルコンサート★
◆6月17日(日)18:00開演
~聖トーマス教会~
ベルリン古楽アカデミー&聖トーマス教会合唱団
指揮:G.シュヴァルツ ソリスト:J.ラン、S.クルムビーゲルほか
J.S.バッハ《ミサ曲 ロ短調》

 

【13日間コース】

旅行期間:2018年6月7日(木)~6月19日(火)
旅行代金:658,000円

燃油サーチャージが別途必要となります。また、成田または羽田空港使用料・保安サービス料および現地空港諸税が必要となります。

 

【11日間コース】

旅行期間:2018年6月9日(土)~6月19日(火)
旅行代金:618,000円 

燃油サーチャージが別途必要となります。また、成田または羽田空港使用料・保安サービス料および現地空港諸税が必要となります。

 

旅行説明会

 

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