![]() コラム オペラの殿堂、よき時代そしてこれから スカラ座といえばオペラの殿堂であり“歌い手”の檜舞台である。長い歴史の中で聴衆を魅了するばかりでなく、話題には事欠かなかったマリア・カラスの存在がやはり中心になるように思う。1951年、「シチリア島の夕べの祈り」でデビューを果たすと、「ノルマ」、「ランメルモールのルチア」、「椿姫」がピエルマリーニの舞台を彩った。 また、同期を生きた、レナータ・テバルディやジュリエッタ・シミオナート、男声ではジュゼッペ・ディ・ステーファノ、マリオ・デル・モナコ、フランコ・コレルリ、バリトンのエットーレ・バスティアニーニ、バスのチェーザレ・シエピなどがオペラ黄金期である20世紀中ごろまでを沸かせたタレントといえる。 また、そのような隆盛を極めた時代には必ず優れた指揮者が傍らにいるという背景があった。大指揮者、アルトゥーロ・トスカニーニの下でスカラ座の副指揮を務めたトゥリオ・セラフィンは、その後の複数年をマエストロ・トスカニーニと行き来するように音楽監督に就き、ヴィクトル・デ・サバタ、そしてカルロ・マリア・ジュリーニがその後につづく。その上、珠玉の客演が名を連ねた時代でもあり、1960年ほどまでがひとつの区切りと言えるだろう。 しかし、それ以降すべてが色褪せてきているわけではない。晩年までスカラ座にロマン派の憂いを、与えつづけたジャナンドレア・ガヴァッツェーニ、知的ながら自然な叙情性あふれる響を追及したクラウディオ・アバド、楽譜に忠実でありまた厳格でありながら、音楽の中に潜む隠れた特性を引きだす能力が抜きんでていたリッカルド・ムーティなど、今世紀のはじめまで歴代の音楽監督たちには黄金と真紅に染まったスカラ座が似合いすぎていた。 それは、ミレッラ・フレーニ、レナータ・スコット、フィオレンツァ・コッソット、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ピエロ・カップッチルリ、レナート・ブルゾン、ニコライ・ギャウロフなどの名歌手についても同様であり、そのようなカリスマが舞台に現れると当日券を求め、桟敷席に並ぶことさえままならぬ状態が続いたものである。 世紀をまたぎその殿堂にも翳りが見えはじめている。もちろんスカラ座だけのことではない。教え伝えるという教育の衰退、何よりも伝統を重んじる指導者不足が、正当なアーティストの育成を妨げることになった。自然であった舞台へのリズムが、歯車が狂ってしまったのである。カリスマどころか、イタリアオペラをきちんと歌えるアーティストの減少は、この国の宝玉文化の伝承に暗雲をもたらしている。 堂満尚樹(音楽ライター) ![]() ピックアップ ≪仮受付中≫ 音楽評論家 加藤 浩子と行く メトロポリタン・オペラ&ボストン9日間<2018年4月1日出発> メトロポリタン歌劇場にて、ヴェルディのルイザ・ミラーとドニゼッティのランメルモールのルチア、ボストン・シンフォニーホールにて、ボストン交響楽団のコンサートを鑑賞するツアーです。 滞在先は、ニューヨークではル・パーカー・メリディアン、ボストンではマリオット・コープリープレイスと、観光に至便な四つ星ホテルをご用意しております。メトロポリタン美術館・ボストン美術館への見学も、オプショナルツアーとして設定がありますので、音楽だけでなく美術も存分にお楽しみいただけます。 ![]() 旅行代金には下記公演のチケット代が含まれます。 ★4月2日(月)19:30開演
ワーグナー≪ジークフリート牧歌≫ ワーグナー≪歌劇「トリスタンとイゾルデ」第2幕≫ 別料金(別手配)にて、メトロポリタン歌劇場での新制作《コジ・ファン・トゥッテ》ならびに《トゥーランドット》も鑑賞可能です!
燃油サーチャージが別途必要となります。また、成田または羽田空港使用料・保安サービス料および現地空港諸税が必要となります。 ピックアップ ≪仮受付中≫ 音楽評論家 加藤浩子と行くバッハへの旅13日間<2018年6月7日出発>・11日間<2018年6月9日出発> ライプツィヒ、アイゼナッハ、ミュールハウゼン、ヴァイマール、オールドルフ、アルンシュタット、ドルンハイムに滞在します。 ![]() 旅行代金には下記公演のチケット代が含まれます。 <13日間コースのみ対象> ★オープニングコンサート★ <13日間コースのみ対象> <13日間コースのみ対象>
指揮:ブノワ・アレ
指揮:V.ルクス
【13日間コース】 旅行期間:2018年6月7日(木)~6月19日(火) 燃油サーチャージが別途必要となります。また、成田または羽田空港使用料・保安サービス料および現地空港諸税が必要となります。 【11日間コース】 旅行期間:2018年6月9日(土)~6月19日(火) 燃油サーチャージが別途必要となります。また、成田または羽田空港使用料・保安サービス料および現地空港諸税が必要となります。 旅行説明会 東京地区
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