事のはじまりはまさに対岸の火事であった。
わたしにとっては、これまで聞き覚えのなかった中国湖北省、武漢という町が一夜にして閉鎖されたという一報をミラノで聞いている。一月末日のことであろうか。そして、それに続くように今度は洋上にある豪華客船の中での緊急事態。横浜港沖に停泊したダイヤモンド・プリンセス号の乗員、乗客のすべてが政府の監視下に置かれ下船することがままならないと二月上旬、海を越えてこちらまで届いたのである。これが世界を震撼させることになる“新型コロナウィルス”のいわば序曲である。
アジアに降り掛かったふたつの事例がかなりの騒ぎになっている最中、に遥か遠くにあるイタリアへウィルスが運ばれ、静かにこれまでにない動きを感じはじめる。それでも最初に感染が確認されている3人に関しては、あまり感染力を持たないタイプであり、政府が非常事態を宣言しながらも、それが国民のもとへ届くまではまだかなりの時間を要することになる。
2月20日になり悲劇への第一幕が切って落とされる。ミラノよりさほど遠くはないコドーニョという町の中に最初のクラスターの出現が確認される。武漢市との直接の関わりはなく、しかしその武漢市より同郷に戻ったイタリア人にウィルスをうつされ、その後クラスターの根源として、このロンバルディア州一帯を巻き込むことになる大惨事へと拡大していく。
2月21日になるとヴェネツィアやパドヴァといった大きな街のあるヴェネト州でも感染が広がり、まずはロンバルディア州とヴェネト州のいくつかの町や小村で。その後、瞬く間にこの感染が広がっていく。しかしこの時はまだ、“ペイシェント・ゼロ”と言われるいわばクラスターの根源が見つかっておらず、二週間ほどの間にトリノのあるピエモンテ州、またイタリアの北東に位置するフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州という広範囲にまで広がりを見せた。
3月5日になり、やっとイタリア中を血眼になって探し回っていた“ペイシェント・ゼロ”が特定されるが、その33歳のドイツ人を発見するタイミングが大幅に遅れたことがまずその後の拡散を招いたひとつの原因となる。いまどこにいても聞こえてくる“パンデミック”というギリシャ語を語源とした言葉が示す通り、爆発的な感染源となったそのドイツ人を突き止めたその日から堰を切ったように感染者の数が増えていくことになる。
ただ、ここまでの感染者の増加を引き起こしたのは何もクラスターを特定できなかったことだけが原因というわけではなく、それ以上にイタリア人の性格と彼らの持つ生活習慣が仇となったと言っても過言ではない。
音楽評論家 平野昭と行く ベートーヴェンへの旅 12日間
2020年6月3日(水)~6月14日(日)
本旅行での鑑賞公演
■ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
6月4日(木)19:30開演 楽友協会(大ホール)
指揮:A.ネルソンス
ベートーヴェン《交響曲 第6番 ヘ長調「田園」》
ベートーヴェン《交響曲 第7番 イ長調》
6月5日(3日目)の公演は下記いずれかよりお選びいただきます。
□ モーツァルト《フィガロの結婚》
6月5日(金)19:00頃開演 ウィーン国立歌劇場
指揮:S.ゲッツェル
演出:J.L.マルティノティ
出演予定:A.ハルティヒ、S.ハッセルホルン、A.キャロル、パク・ジョンミン、E.ダンジェロほか
□ D.バレンボイム リサイタル
6月5日(金)19:30開演 楽友協会(大ホール)
ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第16番 ト長調》
ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調「月光」》
ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第6番 ヘ長調》
ベートーヴェン《ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調》
□ ウィーン交響楽団
6月5日(金)19:30開演 コンツェルトハウス(大ホール)
指揮:P.ジョルダン
ピアノ:I.レヴィット
ベートーヴェン《劇音楽「エグモント」序曲》
ベートーヴェン《ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調「皇帝」》
ベートーヴェン《交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」》
■ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
6月6日(土)15:30開演 楽友協会(大ホール)
指揮:A.ネルソンス
ソリスト:L.クロウ、G.ロンベルガー、K.F.フォークト、G.グロイスベック
合唱:ウィーン楽友協会合唱団
ベートーヴェン《交響曲 第8番 ヘ長調》
ベートーヴェン《交響曲 第9番 ニ短調「合唱付き」》
■ プラハ交響楽団
6月11日(木)19:30開演 スメタナホール
指揮:T.ブラウナー
ソプラノ:K.コネジコヴァー
テノール:R.サメク
バリトン:S.セム
合唱:プラハ・フィルハーモニー合唱団
ドヴォルザーク《カンタータ「幽霊の花嫁」》
■ チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
6月12日(金)19:30開演 ドヴォルザークホール
指揮:S.ビシュコフ
ピアノ:R.ブッフビンダー
ソプラノ:C.レイス
ベートーヴェン《ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調「皇帝」》
マーラー《交響曲 第4番 ト長調》
バイロイト音楽祭《ニーベルングの指環》鑑賞 9日間
2020年7月26日(日)~8月3日(月)
■ ワーグナー《ラインの黄金》
7月27日(月)18:00開演 バイロイト音楽祭 ~祝祭劇場~
指揮:P.インキネン
演出:V.シュヴァルツ
出演予定:出演予定:G.グロイスベック、C.マイヤー、J.ランドグレン、A.アンガー、W.レームクールほか
■ ワーグナー《ワルキューレ》
7月28日(火)16:00開演 バイロイト音楽祭 ~祝祭劇場~
指揮:P.インキネン
演出:V.シュヴァルツ
出演予定:K.F.フォークト、G.ツェッペンフェルト、P.ラング、G.グロイスベック、 L.ダヴィドセンほか
■ ワーグナー《ジークフリート》
7月31日(金)16:00開演 バイロイト音楽祭 ~祝祭劇場~
指揮:P.インキネン
演出:V.シュヴァルツ
出演予定:A.シャーガー、D.ケーラー、G.グロイスベック、W.レームクール、J.ランドグレンほか
■ ワーグナー《神々の黄昏》
8月1日(土)16:00開演 バイロイト音楽祭 ~祝祭劇場~
指揮:P.インキネン
演出:V.シュヴァルツ
出演予定:S.グールド、T.コニエチュニー、A.アンガー、C.ガーキー、 S.ハウツィール、W.レームクールほか
別手配鑑賞公演(別料金)のご案内
◆ ワーグナー《ローエングリン》
7月29日(水)16:00開演 バイロイト音楽祭 ~祝祭劇場~
指揮:C.ティーレマン
演出:Y.シャロン
出演予定:A.シャーガー、G.ツェッペンフェルト、C.ニールンド、T.コニエチュニーほか
◆ ワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》
7月30日(木)16:00開演 バイロイト音楽祭 ~祝祭劇場~
指揮:P.ジョルダン
演出:B.コスキー
出演予定:出演予定:K.F.フォークト、C.ニールンド、M.フォレ、G.ツェッペンフェルトほか
今年1月に催行した「ザルツブルク・モーツァルト週間 ザルツブルク滞在 7日間/11日間コース」の写真をアップしました!