Vol.361 2022.8.9

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Column

そろそろイタリアへ その5

ここですでに語っているようにイタリアに居ついてかなりの年月を過ごしているので、この国に慣れてからはあまり不自由を感じることもなく生きてきた。自分に相応しいペースで世の中を歩き、周りとの間合いを自ずと学びながら、うまくリスクを避けることで、平穏に生きてきたような気がしている。

だからなのであろう。客人のものではなく、自分のスーツケースが姿を消したことにはそれなりの動揺があった。

わたし自身ものを盗られた経験はある。イタリアにやってきたばかりの頃は財布や大事なものを入れたかばんを幾度か知らぬうちに持って行かれている。そう、日本での生活習慣をそのままイタリアに持ち込んではいけないのである。自らが抱えるものを、何より貴重品を身の回りから離して、それを無造作に置いてはいけないのである。

必ずどこからかあなたは見られているし、あなたの持ちものを狙っているものはいるのだよとこちらに暮らす先人からは注意を受けてきた。その感覚が養われるまである程度の時間を要するのだが、自覚しながら次第に憶えていったのだろう。

このところ災難に遭うことがなかっただけに自分にはかなりショッキングな出来事であった。しかしこれは間違いなく自分の不注意である。頭上とは言ったところで座席から直接確認することのできない要するに死角となるところに荷物を置いてしまったからだ。

とりあえずイタロの車掌にも被害状況を説明したがあまり真剣に受け合ってくれない。他の車両も探してみたら、とその程度の扱いである。このような被害報告は日常茶飯事だろうから納得もできるが、世界に誇るいわば売り出し中の車内にビデオすらついてないというのだからそこは改良、いや議論をする余地があるように思う。

終着駅、ヴェネツィアのサンタ・ルチア駅に着くと、正午を回ったところであったが客人に付き合ってもらい、駅の構内にある鉄道警察を訪ねる。盗難証明書をつくってもらうためである。この証明書はかなりの効力を持つものなので面倒臭がらずに行くべきところ。

盗られたものの中に身分を証明するものがあって、それこそ運がよければ手元に戻ってくることもある。かなり昔の話ではあるが盗難に遭って盗まれたパスポートと免許証の入った財布が届けを出していたので戻ってきたことがあった。もちろん財布の中にいくらか入っていたお札は見事抜き取られていたのであるが。

また、盗難品の中に保険の掛かるものがある場合は、その盗難証明書を提示することである程度の補償を得られるケースもある。今回盗まれたスーツケースの中身にそのような高価なものや仕事に支障をきたすものはなく惨事は免れたのであるが。

電車内のスタッフとは異なり、相手をしてくれた警察官は至極丁寧に対応してくれており、客人も引き込まれた他愛のない話が意外にも弾んだこともあり、すべてが終わり退出するころには盗難のショックからやや抜け出せていたようである。

堂満尚樹(音楽ライター)
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