Vol.406 2024.6.25

音楽・美術の旅 メールニュース
 
Column

日本よりイタリアへ その4

20時30分を回ったあたりに野外に特設された会場に入っている。

通常であれば5月半ばから、いかにも夏らしい陽気になるのがここイタリアである。夏時間は、西へ傾いた太陽をいつまでも引き留めるような力があって21時が過ぎてもいっこうに陽は落ちてこない。長い一日、暮れない太陽こそこの国における夏の醍醐味なのである。

空模様が芳しくないその日は気温も上ってこない。こんな季節だからと薄着しか持ってきておらず、早々と陽も暮れかけてきているのでこの後のことが心配になる。

21時を少し回りコンサートははじまった。幸いにも降雨は避けられたが、野外広場に漂う空気はかなり冷たくなってきている。伴った客人らは首肩にストールを巻いているのでややホッとしてはいるが、自分は半袖のポロシャツ姿。これからの時間をどのように過ごそうとすでに不安だ。
しかし本当の心配はそこではなかった。

前述したようにアーティストは大病を克服して、いままだ日の浅いピアニストである。奇跡的な復活を遂げたとはいえ健常というワードはいままだ程遠く、舞台という戦場に上がれば彼の満身創痍が見てとれる。治療で失われた頭髪が舞台に戻ってきた時にはカラー色に染まり、これまで舞台中央のピアノまで駆け上っていたかつての快活な姿はそこにはない。懸命にもがきながら、生きることを体現した姿をピアノに、奏でる音楽に投影しているのが現状である。

そうであるからこそ過酷な条件下でピアノを弾かせたくはないのである。スポットライトに照らされ体温の上がってくる舞台とはいえ、次第に底冷えしてくる気象条件は、コンディションの整ったピアニストであれ簡単にはいかない。冷たい外気は激しく動く指先すら硬直させてしまう。

舞台下から見守るわたしの身体が分刻みに固まっていくのがわかる。しかし舞台上でピアノに向かうアーティストのパフォーマンスもかねて(室内でのコンサート)とはかけ離れていて、明らかなミスタッチもある。曲間に入れ込む自身のMCからも本調子ではない様が伺えるが、これは寒さによるものではなく、薬の副反応として頻繁に彼を襲う腰痛に集中力が損なわれてしまうことが原因らしい。時折、ピアノの背の部分に廻って両手で端の部分に捕まり屈伸運動を行いながら演奏へと戻る繰り返し、なんとも痛々しい。

そのような状況下においても最後まで諦めることをせず、故郷に集った聴衆に向かってこころを込めた自身の作品を90分に渡り紡ぎ続けたジョヴァンニ。決して簡単ではなかった野外でのコンサートにいくつかのアンコール曲も加えて、広場に集まった人々のほとんどがスタンディング・オベーションで感情を露にする。日本からやってきた客人も喜んでくれている。

いつもであれば終演後の楽屋を訪ねてハグするのであるが、少しでも早く休んでほしくてそそくさとホテルに戻っている。

ジョヴァンニ・アレヴィと パルマ王立歌劇場

堂満尚樹(音楽ライター)
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ザルツブルク音楽祭8日間

旅行日程:2024年8月14日(水)~2024年8月21日(水)
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酷暑の日本から抜け出しませんか。

*旅行代金には、下記3公演のチケット代が含まれます。

■オッフェンバック《ホフマン物語》
【3日目】8月16日(金)18:30開演 ザルツブルク音楽祭 ~祝祭大劇場~
指揮:M.ミンコフスキ
演奏:ウィーン・フィル
演出:M.クレマン
出演予定:B.ベルナイム、K.ルイック、K.リンジー、C.v.ホーン、M.モイヨン、G.ショヴェほか

■ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
【5日目】8月18日(日)11:00開演 ザルツブルク音楽祭 ~祝祭大劇場~
指揮:R.ムーティ
ブルックナー《交響曲第8番 ハ短調》

■モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》
【6日目】8月19日(月)18:30開演 ザルツブルク音楽祭 ~祝祭大劇場~
指揮:T.クルレンツィス
演奏:ユートピア管
演出:R.カステルッチ
出演予定:D.ルチアーノ、N.パヴロヴァ、K.ケテルセン、J.プレガルディエン、F.ロンバルディほか

別途手配鑑賞公演のご案内
旅行代金に含まれる上記3公演の他、さらに鑑賞ご希望の方には下記公演のチケット手配を承ります。(別料金)

◆ウェスト=イースタン・デヴァン管弦楽団
【2日目】8月15日(木)20:00開演 ザルツブルク音楽祭 ~祝祭大劇場~
指揮:D.バレンボイム
ヴァイオリン:A.s.ムッター
ブラームス《ヴァイオリン協奏曲 ニ長調》
シェーンベルク《交響詩「ペレアスとメリザンド」Op.5》

◆プロコフィエフ《賭博者》
【4日目】8月17日(土)19:00開演 ザルツブルク音楽祭~フェルゼンライトシューレ~
指揮:T.ザンギエフ
演奏:ウィーン・フィル
演出:P.セラーズ
出演予定:A.グリゴリアン、V.ウルマーナ、J.F.ガテルほか

【残席わずか!】
夏の音楽祭めぐり!
ヴェローナ&ザルツブルク音楽祭 9日間

旅行日程:2024年8月8日(木)~2024年8月16日(金)
夏の音楽祭めぐり!
残席はわずかですが是非お問い合わせくださいませ。

*旅行代金には、下記4公演のチケット代が含まれます。

■プッチーニ《トスカ》
【2日目】8月9日(金)21:00開演 ~ヴェローナ音楽祭~アレーナ・ディ・ヴェローナ
指揮:D.オーレン
演出:H.d.アナ
出演予定:A.ネトレプコ、Y.エイヴァゾフ、L.サルシほか

■ヴェルディ《アイーダ》
【3日目】8月10日(土)21:00開演 ~ヴェローナ音楽祭~アレーナ・ディ・ヴェローナ
指揮:D.オーレン
演出:G.d.ボシオ
出演予定:M.ホセ・シーリ、P.ベチャワ、E.セメンチュク、L.サルシほか

■オッフェンバック《ホフマン物語》
【6日目】8月13日(火)18:30開演 ~ザルツブルク音楽祭~祝祭大劇場
指揮:M.ミンコフスキ
演奏:ウィーン・フィル
演出:M.クレマン
出演予定:B.ベルナイム、K.ルイック、K.リンジー、C.v.ホーン、M.モイヨンほか

■モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》
【7日目】8月14日(水)18:30開演 ~ザルツブルク音楽祭~祝祭大劇場
指揮:T.クルレンツィス
演奏:ユートピア管
演出:R.カステルッチ
出演予定:D.ルチアーノ、N.パヴロヴァ、J.プレガルディエン、K.ケテルセン、F.ロンバルディほか

別途手配鑑賞公演のご案内
旅行代金に含まれる上記4公演の他、さらに鑑賞ご希望の方には下記公演のチケット手配を承ります。(別料金)

◆プロコフィエフ《賭博者》
【5日目】8月12日(月)19:00開演 ザルツブルク音楽祭~フェルゼンライトシューレ~
指揮:T.ザンギエフ
演出:P.セラーズ
演奏:ウィーン・フィル
出演予定:A.グリゴリアン、V.ウルマーナ、J.F.ガテルほか

♪10月以降の予定ツアー企画中

10月以降の予定ツアー企画中です。
企画実施が決まり次第、順次パンフレットを作成していきます。
パンフレットを早めにご希望の方はどうぞお気軽にご連絡下さい。


華麗なるメトロポリタンオペラ!ニューヨーク6日間
旅行日程:2024年11月21日(木)~26日(火) 
旅行代金:近日発表(予定)

(C) Jonathan Tichler Metropolitan Opera

■ヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》
【2日目】11月22日(金)19:30開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:D.カッレガーリ 
演出:D.マクヴィガー
出演予定:A.ミード、O.ペトロヴァ、M.ファビアーノ、I.ゴロヴァテンコほか

■プッチーニ《トスカ》~METライブビューイング公演~
【3日目】11月23日(土)13:00開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:X.ジャン 
演出:D.マクヴィガー
出演予定:L.ダーヴィドセン、F.d.トマーゾ、Q.ケルシーほか

■プッチーニ《ラ・ボエーム》
【4日目】11月24日(日)15:00開演 メトロポリタン歌劇場
指揮:ケンショウ・ワタナベ 
演出:F.ゼッフィレッリ
出演予定:A.ペレス、E.ポゴレルツ、D.ポポフ、B.ピンハソヴィチほか

上記のほか、下記の公演も鑑賞可能です。(別料金)

◆ニューヨーク・フィルハーモニック
【3日目】11月23日(土)19:30開演 デヴィット・ゲッフェンホール
指揮:Pヤルヴィ ピアノ:Y.ブロンフマン
ベートーヴェン《ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調》
ニールセン《交響曲第5番》


第12回 浜松国際ピアノコンクール鑑賞チケット付き宿泊パッケージ
旅行日程:
 本選2日間鑑賞コース(2泊3日) 2024年11月23日(土)~25日(月)

 本選+入賞者披露演奏会鑑賞コース(3泊4日) 2024年11月23日(土)~26日(火)

旅行代金:近日発表(予定)

(C) 公益財団法人浜松市文化振興財団

【2日目】11月23日(土) 18:00開演 アクトシティ浜松(大ホール)
■浜松国際ピアノコンクール本選
指揮:高関 健   演奏:東京交響楽団

【3日目】11月24日(日) 14:00開演 アクトシティ浜松(大ホール)
■浜松国際ピアノコンクール本選
指揮:高関 健   演奏:東京交響楽団

【4日目】11月25日(月) 19:00開演 アクトシティ浜松(大ホール)
■浜松国際ピアノコンクール 入賞者披露演奏会
※入賞者6名によるソロ形式のリサイタル

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