年を跨いでしまい甚だ恐縮ではあるが、昨年のつづきを書かせていただきたい。
CDの廃棄となると、簡単ではない作業をしなければならないということに動きはじめてやっと気づく。手にとって眺めるだけでは、要・不要を判断できず、壊れかけの音響機器にソフトを出し入れしながら聴いてしまう始末。忘れ去られていた記憶に再び巡り会うことでうっとりと郷愁のようなものに包まれるから作業が中断されてしまう。厄介なことにかなりの時間を要してしまったのである。
時間は掛かったけれど、二日がかりで棚からすべてのCDを抜き差しながら必要なものは点検を終えて、150枚ほどが処分の対象なった。アーティストやカテゴリーで区分した棚に並ぶ一連の見栄えは実によい、と見とれていたらそこでまた時間を食うことになる。
次のミッションとして家長からの達しは、白壁に付いたカビを除去する作業。イタリアでの住まいは、築150年ほどの賃貸ではあるが、古い建物とあって天井は高い。3mはゆうに超えるだろう。エスタコウォールといってもあまり耳馴染みのない単語ではあるが、要するに欧州で古くから使われている漆喰のことである。北イタリアでは今でもほぼすべての家屋でこの素材を使った内装がほとんどであり、この白く輝く空間こそがこの国の一つの特徴である。
ただ白い壁は汚れやすく、カビも湿気の多い季節においては落ち着いた内装の難敵となる。どんなに換気に気を配っていても、知らずしらず、天井の隅のほうに黒い斑点のようなシミが広がってくる。
高さ3mにもおよぶ壁ということで、天井のあたりを攻めるためには椅子に上がって届かず、脚立を利用することになる。体重過多の自分が2mほどはあるであろうはしごに留まっていると思うと何だか滑稽であるが、他にやりようがない。高いところは苦手ではあるが、家長の言いつけに従わなければ穏やかなクリスマスや、賑やかな年末年始はやってこない。カビキラーやハイターとは異なるイタリアならではの薬剤を壁に向かって散布することで、自分にもそれが降りかかりながら確かに壁は真っ白く、汚れなき純白な姿に戻っていく。
自分の役割としては、そこをクリアすればほぼ次年を迎えられるわけであるが、もう一つ最後のノルマとして粗大ごみの処分がある。
ミラノ市において粗大ごみは、決められた廃棄場まで各々が持っていかなければならない。もちろん自分らで運べないさらに巨大ものの扱いは、事前に市の処理を手伝ってくれる管轄に連絡を取り日時を決めることで住宅の戸外まで引き取りに来てくれる。
車の後部座席をたたんで広くスペースを作り、そこにありったけの廃棄物を詰め込んで処理場へと向かう。年末に大掃除の習慣を持たないイタリア人でさえ、処理場の入り口には車が列を作って自分たちの順を待っているのがクリスマスの前である。少しずつ車を移動しながら30分ほどは待つことになるだろうか。
入り口にたどり着くとそこでミラノ市の住人であることを証明できるアイデンティティカードの提示、確認後車ごと内部に通されて駐車、その後分別された各ブースへ係員の指示通りにゴミを運ぶ。車が空になった時点ですべて終了である。収めている税金のお陰かもちろん料金は掛からない。
ということできれいさっぱりなったはずの家内ではあるが、新年早々もうゴミが溜まっている始末。いらぬもの溜まってもよい年になるようただただ祈るばかりである。
堂満尚樹(音楽ライター)
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2025年6月のツアーを下記の通り予定しております。パンフレットが間もなく完成しますので、早めにご希望の方はどうぞお気軽にご連絡ください。(仮受付も承ります)
ザクセン、テューリンゲンにバッハゆかりの地を訪ね、ライプツィヒ・バッハフェスティバルで世界最高峰のバッハ演奏に出逢う!2000年以来延べ40回(「バッハへの旅」「続バッハへの旅」合計)、延べ876名様ご参加の音楽ツアーのベストセラー
音楽評論家加藤浩子と行く バッハへの旅10日間
[旅行期間:2025年6月15日(日)~24日(火)]
[旅行代金:880,000円 (2名1室/エコノミークラス利用/大人お1人様)]
※別途空港諸税・燃油サーチャージが別途必要となります
<ツアーの魅力を抜粋>
1.バッハゆかりの教会でオルガンコンサートを、アイゼナッハのバッハハウスでは古楽器コンサートを鑑賞!
ドイツの小さな街に佇むバッハゆかりの教会で、ツアー専用のオルガンコンサートをお楽しみいただきます。またバッハの生地アイゼナッハにあるバッハハウスでは、展示してある古楽器を使ったサロンコンサートにご案内いたします(貸し切り公演)。アットホームな空間で、雅びな響きをお楽しみください。
2.バッハゆかりの街をじっくりと巡ります。
生地のアイゼナッ八から、初めて就職したアルンシュタツト、名曲の数々を生んだヴァイマールなど、バッハゆかりの美しい街々を巡ります。
【鑑賞予定公演】
●ライプツィヒ・バッハフェスティバル
ジャン=ギアン・ケラス
無伴奏チェロ組曲 全曲演奏会
◆J.S.バッハ
無伴奏チェロ組曲
《第1番卜長調BWV 1007》《第2番二短調BWV 1008》
《第3番ハ長調BWV 1009》《第4番変本長詞BWV 1010》
〈第5番ハ短調BWV 1011》《第6番二長謝BWV 1012》
聖トーマス教会 6月17日(火)20:00関演
●ライプツィヒ・バッハフェスティバル
ゲヴァントハウス管弦楽団
◆指揮J.フルシャ
◆トランペット J.ミュラー
◆J.S.バッハ《3台のチェンパロのための協奏曲第2番二短調BWV1063》
オネゲル《交響曲第2番》
J.ブラームス《交響曲第4番ホ短調Op.98》
ゲヴアントハウス大ホール 6月20日(金)19:30開演
●ライプツィヒ・バッハフェスティバル
アンドラーシュ・シフピアノリサイタル
◆J.S.バッハ《平均律クラヴィーア曲集第2巻BWV 870-893》
ゲヴアントハウス大ホール 6月21日 (土)20:00開演
●ライプツィヒ・バッハフェスティバル
ファイナルコンサート
アムステルダム・バロック・オーケストラ
◆指揮:トン・コープマン
◆ソリスト:H.ブラツィコヴァ、M.エンゲルティエス、T.リヒティ、K.メルテンス
◆J.S.バッハ《口短調ミサ曲 BWV232.4)〉
聖トーマス教会 6月22日(日)18:00開演
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*上記の他、ご希望の方には下記公演のチケット手配を承ります。(別料金)
ソロモンズ・ノット
◆J.S.バッハ《カンタータ「いまや、われらの神の救いと力と」BWV50》
J.S.バッハ《Es erhub sich ein Streit》
J.S.バッハ《カンタータ「いさかいは起きれり」BWV19》
J.S.バッハ《カンタータ「主なる神よ、われらはみな汝をたたえん」BWV130》
J.S.バッハ《カンタータ「人は喜びもて勝利の歌をうたう」BWV149》
聖ニコライ数会 6月22日(日)15:00開演
音楽の都・ウィーンにゆったり滞在し、
楽友協会にてメスト指揮「ウィーン・フィル」&ウィーン国立歌劇場にて《ばらの騎士》を鑑賞!
グラントホテルに泊まる!ウィーン滞在7日間
[旅行期間:2025年6月9日(月)~15日(日)]
[旅行代金:788,000円 (2名1室/エコノミークラス利用/大人お1人様)]
※別途空港諸税・燃油サーチャージが別途必要となります
【鑑賞予定公演】
●ウィーン楽友協会(大ホール)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
◆指揮:F.ウェルザー=メスト ソリスト:E.ガランチャ、D.ベーレ
◆ハイドン《交響曲 第52番 ハ短調》、マーラー《大地の歌》
●ウィーン国立歌劇場
R.シュトラウス《ばらの騎士》
◆指揮:A.フィッシャー 演出:O.シェンク
◆出演予定:L.ダーヴィドセン、G.グロイスベック、E. ダンジェロ、S.ドゥヴィエルほか
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*上記の他、ご希望の方には下記公演のチケット手配を承ります。(別料金)
・ウィーン国立歌劇場
ロッシーニ《セヴィリャの理髪師》
指揮:M.アルミリアート 演出:H.フリッチュ
出演予定:E.ロチャ、M.F.ロマーノ、P.ノルズ、S.アスターホフ、B.ターフェルほか
・フォルクスオパー
モーツァルト《フィガロの結婚》
演出:R.d.ベア ※指揮者・出演者は未発表
・ウィーン・コンツェルトハウス(大ホール)
「ウィーン交響楽団」
指揮:L.ヴィオッティ チェロ:S.ガベッタ
サン=サーンス《チェロ協奏曲 第1番 イ短調op.33》
リムスキー=コルサコフ《交響組曲 「シェへラザード」op.35 》ほか
・ウィーン楽友協会(大ホール)
「バーゼル室内管弦楽団」
指揮:G.アントニーニ ハンマークラヴィーア:A.メルニコフ
ハイドン《交響曲 第71番 変ロ長調》
ハイドン《ピアノ協奏曲 ニ長調》
ハイドン《交響曲 第74番 変ホ長調》
ハイドン《交響曲 第75番 ニ長調》
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