Vol.353 2022.4.26

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Column

ナポリへ(冬の旅)その4

僅か2泊のナポリをいかように過ごすか、そこは娘に託すことで今回もスタートしている。どうしても譲れないオペラ鑑賞を除いて、あとはすべて彼女の言いなりになってみる。それこそが父娘二人してこれまで平穏な旅を続けてこられた秘訣ではないだろうか。

到着したばかりの空港から、まずはバスに乗ってナポリの中央駅を目指す。ワクチンの3回目接種の進んでいることもあり車内はすでにマスク姿の乗客でいっぱい。立ったまま揺られておよそ20分くらいだったろうか。駅からは地下鉄に乗り換えて町の中心部に向かう。中心部といっても大聖堂のある旧市街地を通り抜けて、王宮、プレビシート広場、サンカルロ劇場のある海に近いところまで。そこから歩いて移動できる宿泊先を予約していたので、地下鉄の1番線トレド(Toledo)駅で下車すればあとはスーツケース引いて多少の勾配を上ることになる。

坂の途中にあるB&Bまで移動したらとりあえずチェックイン。すぐに不要なものは部屋に残して、まずはナポリランチに出掛けるのだが、食事については後々まとめて紹介したい。

20時にはじまるオペラを軸として、ランチながら午後の予定を娘に尋ねるとフォークを口に運ぶ手を休めることなく空でプランを語りはじめる。時間を有効に使うためにこのままホテルには戻らずに散策するらしい。しかもここから乗り物に頼らないという。そぞろ歩かなければ町を知ることにならないと持論を翳して、それは肥満の父親に動いてもらわなければならないという意図が易く見てとれる。すでに語ったように、よい旅は異論申し立てないことと決めて臨んでいるので黙って彼女のあとに従うのである。

町を分断するトレド通りを進み、ダンテ広場を抜けてポルトアルバの細道に入ると、右手にはナポリの国立音楽学校、マイエッラ音楽院がある。ここは本日の行程に含まれていなかったが、歴代の著名な作曲家たちの楽譜や資料が保管されていることをふと思い出して、「訪問したい」と受付に頼んではみたが、コロナ禍による一般の立ち入りはいままだ許可されておらず、門から中庭を覗き込むだけに留まった。

娘の望んだサン・セヴェーロ礼拝堂は、その音楽院の僅かばかり先にあり、かの「ヴェールに包まれたキリスト像」が置かれている。

この堂内、いくつかの彫刻、そして絵画はあるものの、博物館のような展示のみを目的とした施設ではなく、とりわけ気を引く作品は他に見当たらない。まさにそれを観るために訪れたのである。究極のヴィルトゥオーゾと誉れ高い18世紀を生きた彫刻家、ジュゼッペ・サンマルティーノによる死せるキリストは、何とも凄まじい。死に直面したキリストのその苦悶の表情を大理石に彫り出したものであるが、石の作品とは到底思えぬ、やわらかくそして冷たく覆われたヴェールを表現したその繊細さ、透明さには、ただただ言葉にはできない凄味が伝わってくる。

堂満尚樹(音楽ライター)
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【オンラインツアー申込開始!】
5月31日開催
公認ガイド中谷剛氏と歩く「アウシュヴィッツ強制収容所内部見学」とアンナさんが語るポーランドの今
(10日間の見逃し配信あり)

『歴史から学び、平和について考えること。
アウシュヴィッツの歴史は何を私たちに伝えるのでしょうか。
77 年前も現在も民族の問題は多くのことを私たちに語りかけてきます。
海外旅行は少しずつですが、再開の兆しが見えてきつつあります。
しかし、今、ヨーロッパの歴史を知り、学ぶことは、ウクライナ情勢と
今後の世界を考える上で避けては通れません。
平和への祈りを込めて、今回このオンラインツアーを企画しました』

音楽・美術ツアーデスクでなぜ「アウシュヴィッツ強制収容所」なのか?と思われた方も少なくないのでは思います。
実は、アウシュヴィッツ強制収容所を見学するツアーは、ポーランドの首都ワルシャワから日帰りで訪れるオプショナル観光のひとつとして、ポーランドの京都といわれる世界遺産の街クラクフ日帰り観光とならんで多くのお客様にご参加いただいてまいりました。アウシュヴィッツといえば、ナチスのホロコーストを生き抜いた実在のユダヤ系ピアニストの半生を描いた映画「戦場のピアニスト」でその存在を知った方も少なくないのではないでしょうか。

昨年の秋に、ポーランド・オンラインツアー第1弾として開催した 「ショパン国際ピアノコンクール特別企画 “ワルシャワのショパンゆかりの地めぐり”」 に続く、ポーランドの第2弾として、このクラクフ観光とアウシュヴィッツ強制収容所見学のオンラインツアーの企画実現に向けて準備を進めてまいりましたが、コロナ感染拡大の影響により、また、さらにウクライナ情勢の影響による多数の難民支援などの事態にポーランドが直面し半年以上の月日を経て実現する運びとなりました。

本文の続きは…【郵船トラベル 音楽・美術の旅スタッフブログ】へ
公認ガイド中谷剛氏と歩く「アウシュヴィッツ強制収容所内部見学」とアンナさんが語るポーランドの今

【日時】2022年5月31日(火) 15:30~17:00 (予定)
【費用】 3,500円 *事前予約制
【ゲスト】 中谷剛氏(なかたにたけし)氏【VTR出演】、アンナ チャスカ(Anna Trzaska)氏【ライブ出演】
  

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