Vol.355 2022.5.24

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Column

ナポリへ(冬の旅)その6

中々巡り会うことのない歴史的に価値のある文化財との出会いは、こと感動を呼び胸を満たしてくれるが、その地方に行かなければ堪能することのない、そこの食文化との邂逅もまた一入である。

ナポリの食は、世界に誇るイタリアの食文化の中にいて独自のアイデンティティーを持ち、特に地域の海産物や野菜を用いたバリエーションの豊富なピアット(皿)に魅了されるのは何もそこに暮らす人々ばかりではない。ここを訪れる万人を魅了するのである。

魅了されることが旅のひとつの目的であった我々ではあるが、それならばあえて有名店と呼ばれている町の名の知れた繁盛店を避けて、何気なく路地裏に佇む庶民的な店の選択を心掛けた、いわゆる自分たちによる独自の美食マップづくりに努めてみた。

とは言ったもののたかが2泊のみの滞在、決してフードファイターではない我々であるから、一つひとつの出会いを大切に、慎重な店選びをしている。

娘は鼻が利く。誰に似たのかもともと勘の働きには冴えたものがあり、先見能力に長けていて、状況判断の的確さも然り、親としてもただただ驚くばかりである。だから当然ながら父は娘の背中を追うばかり。店を探している時も余計な口出しは一切せずに、もしも意見を求められることがあればそれも控えめに、平穏な旅を願い、安らかで美味しい食事のためには黒子に徹するのである。

「美味しい店は随時客で溢れている」と娘はしたり顔で言うがそのくらいのことわたしにもわかる。閑散としているところに繁盛を測るバロメータはなく、たとえば空いていることがあればそれは食事に適した時間帯ではないということだろうか。いや、時間帯に多少ズレがあろうと評価の高い店はいつ時も人が溢れているのである。

このナポリの町の誇るピッツアに向かなかったのは何もそれが嫌いであるからではなく、それ以上にこの町でしか味わえないものが豊富にあるからに他ならない。ミラノでもある程度のピッツアは食べられる。しかし北イタリアにいては手に入らず、簡単に味わえないものがここナポリにはある。その筆頭が新鮮な魚介をふんだんに使った料理である。

甲イカにヤリイカ、海老、タコ、そしてムール貝の絡んだシーフードサラダというシンプルな前菜もここナポリで食せば極上の一品、オリーブオイルと塩、それに土地の産物レモンを搾っただけで完成する。

そしてナポリのいただく至福のパスタがシャラティエッリである。太麺の言うなればうどんのような棒パスタは、トスカーナのピーチと呼ばれる手打ち麺と似ながらもっちりとした食感が異なり、魚介のソースをうまい具合に絡めるにはもってこい。一度口に運んだらもうどうにも止まらない。近郊でつくられるトマトとの相性も抜群で、甘い酸味が魅惑の一皿である。

よいお店の条件としては、美味さに加えてやはり寛げる店内の雰囲気だろうか。条件の整った名店をいくつか見つけ出した我々は、後ろ髪を引かれつつミラノへと戻ることになった。

堂満尚樹(音楽ライター)
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