Films x Music 名作でめぐる音楽の旅 Vol.3 ショパン 愛と哀しみの旋律

©2002,A Jerzy Antczak Production,All Rights Reserved.
Broadcasting Corporation 2012

『ショパン 愛と哀しみの旋律』

発売中
発売元:ショウゲート
販売元:ポニーキャニオン
価格:Blu-ray ¥4,700+税

監督:
イェジ・アントチャク
出演:
ピョートル・アダムチク/ダヌタ・ステンカ/ボジェナ・スタフーラ/アダム・ヴォロノーヴィチ 他

あらすじ

ポーランド生まれの天才作曲家ショパンは、祖国を追われウィーンやパリに逃れたが、作曲家として認められず、病弱でふさぎ込みがちな失意の日々を過ごしていた。そんな時に出会ったのが、恋多き女性として社交界でも有名な女流作家、ジョルジュ・サンド。年上で離婚歴がある子持ちの彼女との情熱的な恋に次第に溺れていく中で、ショパンは数々の名曲を生み出すが、サンドの子供たちはそんな彼らを疎ましく思い始める…。

“ピアノの詩人”ショパンが見ていた
悲哀と慈愛の世界

祖国への愛と、恋人からの愛が育てたピアノの詩人

劇中の冒頭で流れるのは、フレデリック・ショパンの名曲≪夜想曲(ノクターン)第20番嬰ハ単調≫。彼の波乱に満ちた人生を表したかのような美しくも物悲しい旋律は、ショパンが20歳の時、ポーランドの混乱中にウィーンで書き上げられ、39歳で早世した後に発表されました。幼少時から才能に恵まれながらも、祖国は混迷しており病弱で不安定だったショパン。この映画は、そんなショパンがサンドと出会い彼女の母性に包まれたことで、その才能を爆発させていく様子が描かれています。しかし、これは平穏な恋愛物語ではありません。サンドには2人の子供がいて、子供たちも交えた嫉妬や情欲が渦巻くおどろおどろしいストーリーへと展開していくのです。人間の闇にスポットライトを当てたような作品で、見ていると苦しいシーンも少なからずあるのですが、ショパンの作品を考察するに当たっては大変、興味深い作品です。

なお、劇中の演奏は全編を通して世界的チェリスト、ヨーヨー・マや、『戦場のピアニスト』のヤーヌシュ・オレイニチャク、日本人ピアニストの横山幸雄ら豪華アーティストが担当。心の琴線に触れるような繊細な演奏を楽しむことができます。

  • ショパンのピアノ

数々の名作が作られた療養地・マヨルカ島

  • マヨルカ島のビーチ
  • パルマ・デ・マヨルカのカテドラル
  • ベルベール城

ショパンが療養のためにサンドらと訪れたスペイン・マヨルカ島は、ショパンファンなら一度は訪れたい地。ビーチリゾートや石灰岩からなる山、見応えのある遺跡や建築物などがあり、暖かい季節には人気のある観光地です。

ところが、劇中にもあるように、ショパンたちのマヨルカ島滞在は残念なもので、宿泊先が見つからず荒れ果てた元修道院の一角を借りることになった揚げ句、厳しい冷え込みのせいで体調は悪化。さらに、ピアノが税関で引っ掛かり、2カ月近く手元には届きませんでした。しかし、苦境に立たされたときほど創作の進むショパン。ピアノが届いてからの5週間は、ショパンにとって“最も創造的な期間”といわれるほどで、≪雨だれのプレリュード≫をはじめとする複数の前奏曲や≪バラード第2番≫≪軍隊ポロネーズ≫などを生み出しました。

ショパンが滞在したヴァルデモッサは、中心地パルマから少し離れた場所に位置しており、バスで行くこと30分ほど。カルトゥハ修道院にはショパンの記念館があり、ショパンのピアノやサンドとの肖像画、手書きの楽譜などが展示されています。穏やかな街並みを、ゆっくりと散歩するのもぜいたくな時間。事前にサンドの著書「マヨルカの冬」を読んでおくと、彼らがこの島で見ていた景色がどのようなものだったのか、重ね合わせて楽しむことができるでしょう。

  • ヴァルデモッサの風景
  • ヴァルデモッサの街並み
  • ヴァルデモッサの路地
  • カルトゥハ修道院
  • ショパン像
  • グルメの楽しみも

ハートが眠る最愛の祖国

  • ワルシャワ旧市街
  • ワルシャワ旧市街
  • 聖十字架教会

劇中でも強調されている“ショパンの望郷の思い”。1831年、ロシア帝国による支配に対し反乱を起こしたワルシャワの地にロシア軍が侵攻し、その報告を受けたショパンが怒りをぶつけて創作した≪革命のエチュード≫など、彼の創作物にはしばしば祖国愛が色濃く反映されています。第二次世界大戦で大半を破壊されてしまったワルシャワの街ですが、ショパンを感じられるスポットは現在もたくさんあります。

まず、「聖十字架教会」。彼の死後、姉のルドヴィカによってひっそりと持ち帰られたショパンの心臓が柱の中に安置されています。柱には「マタイによる福音書」から「あなたの宝の場所にあなたの心がある」というフレーズが刻まれ、ショパンの祖国愛の象徴的存在となっています。なお、ショパンの心臓は大戦時に一度ナチスによって持ち出されていますが、教会再建時に無事、戻されました。

また、1679~1696年にかけて建設されたこちらの教会は、白やゴールドを基調としたバロック式の荘厳な造りも見事です。中でも正面に鎮座する黄金の祭壇はひときわ大きな存在感を放っており、観光スポットとして人気です。

そこから徒歩圏内に、妹のイザベラが住んでいたザモイスキ宮殿、ショパン博物館やワルシャワ蜂起博物館などが点在しています。そして、大きなショパン像が鎮座する「ワジェンキ公園」は必ず訪れたい場所。夏の日曜にはショパン像の横にピアノが置かれ、無料のショパン・コンサートが開催されます。また、彼にゆかりのある場所に設置されている“ショパンのベンチ”もお見逃しなく。2010年にショパンの生誕200年を記念し設置されたもので、ベンチに設置されたボタンスイッチを押すとショパンの名曲が流れます。全部で15カ所あり、場所によって曲も違うので、制覇を目指すのも楽しそうです。

  • ショパン博物館
  • ワジェンキ公園
  • ワジェンキ公園のショパン像

最後に紹介するのは、ワルシャワ郊外の「ショパンの生家」です。当時の様子が復元された施設で、その時代の調度品や食器などが展示されているほか、ミュージックルームにはピアノや楽譜の展示も。また、出生証明書や家族や友人との手紙なども飾られており、ショパンの人生に思いをはせるにはぴったりの場所です。夏の間は毎週日曜日に演奏会が開催され、外のベンチで聴くことができるそう。大きな庭を散策するのも気持ちがよく、季節のよいときに訪れるのがお勧めです。

ショパンが愛する人と過ごしたマヨルカ島、ショパンが愛し続けた故郷ポーランド。いつも悲しさと共にあったショパンの“愛”でしたが、だからこそ生まれた情感豊かな旋律の数々は、今も多くの人に愛されています。さあ、ショパンの愛をたどる旅へ出掛けてみませんか。

  • ショパンの生家

現地を訪ねたら見逃せない、
みどころと名物

  • ワルシャワ レストラン・ホノラトカ

    ショパンが通ったことで知られる1926年創業の老舗カフェ・レストラン。当時は高級カフェだったが、現在は伝統的なポーランド料理が中心となっている。ショパンの音楽を聴きながらティータイムを楽しむことができる。

ショパン国際ピアノコンクール

世界最高峰のピアノコンクールの一つとして知られるショパン国際ピアノコンクール。
5年に一度、ショパンの命日(10月17日)前後の約3週間にわたり開催される。過去には、マウリツィオ・ポリーニ、マルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・ツィメルマン、スタニスラフ・ブーニン、ダン・タイ・ソン、ユンディ・リなど、現在も一線で活躍するピアニストを輩出(いずれも優勝)。最近の優勝者では、ラファウ・ブレハッチ、ユリアンナ・アヴデーエワ、チョ・ソン・ジンらが世界で活躍中。会場となるフィルハーモニーホールは、わずか座席数1069席。ここで連日ショパンの作品が演奏される。
漫画・アニメ「ピアノの森」でも取り上げられるなど、ピアノファンのみならず幅広いファンが増えている。

2020年ショパン国際ピアノコンクール鑑賞ツアーを実施予定です。
詳しくは総合お問合せよりお問合せください。

お問合せ
  • お電話: 03-6774-7940

  • 郵船トラベル 音楽・美術ツアーデスク

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