
『のだめカンタービレ in ヨーロッパ』
発売中
発売元:フジテレビ映像企画部
価格:¥7,600+税
脚本: 衛藤 凜
演出:武内英樹
出演:上野樹里 玉木 宏
瑛太 水川あさみ 小出恵介 遠藤雄弥 他
“のだめ”こと野田恵(上野樹里)はコンセルヴァトワールにピアノ留学するため、千秋(玉木宏)は世界の舞台で活躍するプロ指揮者を目指すため、それぞれ桃ヶ丘音楽大学の仲間たちに別れを告げ、パリへと旅立つ。2人が住むことになったのは、千秋の母方の親類が所有し、音楽を学ぶ学生へ優先的に貸しているアパート。そこには、のだめと同じコンセルヴァトワールの学生である、派手なロシア人留学生ターニャ(ベッキー)や、アニメオタクのフランス人学生フランク(ウエンツ瑛士)らが暮らしていた。のだめは持ち前の優れた順応性でホームシックを克服したものの、言葉の壁にぶつかってしまう。一方、千秋はプラティニ国際指揮コンクールの予備審査を見事突破し、コンクール出場のため開催地のプラハへと向かう。
「のだめカンタービレ in ヨーロッパ」
パリ・プラハで芸術と戯れる旅
恋も音楽も前途多難!? のだめの成長ストーリー
クラシックブームを生んだ人気ドラマ「のだめカンタービレ」シリーズのうち、ヨーロッパを舞台にしたスペシャルドラマとして放映された本作。前作においてコンクールで才能を見出されたのだめは、フランスのコンセルヴァトワールへの留学が決まり、いよいよ世界で大活躍…かと思いきや、アナリーゼの授業についていけなかったり、実力派ピアニストのソン・ルイへの強烈な対抗心から自分を見失ってしまったりと、序盤から数々の困難に見舞われます。さらに、自分をフランスに呼んでくれたオクレール先生からも「君はここに何をしに来たの?」と言われてしまう始末。すっかり方向性を見失ってしまったのだめですが、ある出来事が立ち直るきっかけになります。それは、自らが作曲した『もじゃもじゃ組曲』をオクレール先生が弾いたときのこと。楽譜に書き込んでいないことまで「ここはもっとこうやって弾いてほしい!」と熱弁するのだめを、オクレール先生は「その気持ちと同様に、作曲家たちにも言いたいことがあるんだよ」と諭します。「君は感覚的にしか感じない。何を感じて作ったのか、もっと耳を澄ませて聴いてごらん」。その言葉はのだめの胸に真っすぐ届き、続くリサイタルでは大成功を収めることになりました。
「よい演奏=間違いのない演奏」だとすれば、機械による演奏を人間が超えることはできません。では、“よい演奏”とはなんでしょうか? ポップな作風の裏に隠れがちですが、扱われているテーマは音楽を学ぶ人にとって大変、本質的なものになっています。のだめは優れた技巧を持つプレイヤーですが、考えてみればコンクールで審査員の心をつかんだのは情感豊かなシューベルトの≪ソナタ≫でした。実は、のだめは既に、作者の意図に寄り添い表現をする、という成功体験を得ていたのです。こういった伏線を回収しつつ、千秋との恋愛要素も絡め、仲間との切磋琢磨(せっさたくま)もあり…と盛りだくさんなストーリーが散らかることなくまとめられているのは見事です。
そしてもちろん、物語を盛り上げる名曲の数々も素晴らしく、“世界一長いクレッシェンド”ともいわれるモーリス・ラヴェルの≪ボレロ≫や、ドビュッシーのピアノ独奏曲集「映像」に収録された≪水に映る影≫、カナダのナイアガラの滝にインスピレーションを受けて第一楽章が制作されたというドヴォルザークの≪チェロ協奏曲ロ短調≫、多様な旋律を持ち躍動感のあるショパンの≪ピアノソナタ第3番ロ短調≫など、てんこ盛り。ドラマの要所要所で流れる優美な音楽に酔いしれているうちに、すっかり「のだめカンタービレ」の世界観に没入していることでしょう。
現地を訪ねたら見逃せない、
みどころと名物
ピアノ好きな方に~ショパン国際ピアノコンクール鑑賞ツアーのご案内
世界最高峰のピアノコンクールの一つとして知られるショパン国際ピアノコンクール。
5年に一度、ショパンの命日(10月17日)前後の約3週間にわたり開催される。過去には、マウリツィオ・ポリーニ、マルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・ツィメルマン、スタニスラフ・ブーニン、ダン・タイ・ソン、ユンディ・リなど、現在も一線で活躍するピアニストを輩出(いずれも優勝)。最近の優勝者では、ラファウ・ブレハッチ、ユリアンナ・アヴデーエワ、チョ・ソン・ジンらが世界で活躍中。会場となるフィルハーモニーホールは、わずか座席数1069席。ここで連日ショパンの作品が演奏される。
漫画・アニメ「ピアノの森」でも取り上げられるなど、ピアノファンのみならず幅広いファンが増えている。