メトロポリタン歌劇場
豪華絢爛な舞台に憧れて
ニューヨーク、クラッシック音楽のメッカ、リンカーンセンター。
その中心に堂々と鎮座する、メトロポリタンオペラハウス、愛称メット。
世界3大歌劇場の1つに挙げられ、そのキャパシティは世界最大3800席。
素晴らしいファサードから見え隠れするシャガールのタペストリーが、一層格式高いものに見せている……。
私が最初にメットを見た時、その外観に痺れ、いつかここで歌えたなら…と、武者奮いしたのを覚えています。
初めてメットの名を知ったのは、100周年記念ガラのビデオを観た時。
今思えば、当時のスター達がこれでもかとばかりに一堂に会していたのですが、歌を始めたばかりだった私には、その凄さがよくわからずそれでも、その華やかな世界をうっとり聴いていました。
と、そこに出演していた、スター中のスター、パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス。
彼らは世界中で賞賛を欲しいままにしていた歌手ですが、ノリの良いアメリカでは特に、彼らが姿を見せるだけで、拍手が何分も鳴り止まない程の人気でした。
後年、まさか自分が本当にオペラ歌手になって、彼らと共演するなど、当時は全く予想もしていませんでしたから、人生とは、やはり面白いものだと思います。
1998年に渡米し、NYで勉強を始めた頃は、ほぼ毎日のようにメットに通って、コーチングを受けたり、オペラを観たりしていました。
大抵は、天井桟敷の立ち見席か、コーチからもらうチケットの関係者席でしたが、たまに『音大の学生?しっかり勉強してね』と、早く帰宅する観客が、一階席のチケットを置いていってくれる事などもあり、アメリカっぽいなぁと、感激したものでした。
そればかりか、当時イスラエルから勉強に来ていた、同門の友人歌手などは、常に自分のコンサートのチラシを携え、公演の合間に客席で、お金持ちそうな観客を見つけては自分をPRし、遂には学費を全部払ってくれるスポンサーを見つけてきた事があり、これがNYなのか…METなのか…とびっくりした事が有りました。
幕が開いた瞬間に、拍手が鳴り止まなくなるほど素晴らしい舞台セットのボエーム、それ以上舞台に乗り切らないよ、というほど人が出てくるトゥーランドット、誰も想像し得ないようなスケールの、息を呑むワーグナーのリング…など伝説のメットのステージに見られる様に、豪華絢爛な舞台という事にかけてメットの右に出るものはいないでしょう。
ヨーロッパの方では先進的な演出が、ずいぶん行われていますが、メットに関しては未だにクラッシックの演出を続けているのも特徴だと思います。
現在では、予算や動員者数が減り、メットも随分予算的に厳しくなったと聞きますが、それでも、ニューヨーク観光の際には、ぜひいちど立ち寄られてみることをお勧めいたします。
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この記事のライター
田村 麻子(ソプラノ歌手)
ニューヨーク在住のソプラノ歌手。
国立音楽大学声楽科、東京藝術大学大学院、マネス音楽院(米)首席修了。日韓共催ワールドカップの前夜祭にて3大テナーと共演。リンカーンセンター(NY)でのデビュー公演は、ニューヨークタイムズ紙に「輝くソプラノ」と高い評価を受けた。
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