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マッシモ劇場
イタリア風“本場”オペラの楽しみ方
シチリアの歌劇場というと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか? 過去には幾度かパレルモ・マッシモ劇場の来日公演がありましたから、日本でも従前に比べ随分認知されてきたのではないでしょうか。実際に素晴らしい公演をご覧になって、 レベルの高さに驚かれた方も多いことでしょう。
そのレベルの高さもさることながら、シチリアの歌劇場には、行ってみなければ分からない面白さがあります。それはなにか?それは、昔ながらのオペラの楽しみ方と、 歌劇場を取り巻く環境が、顕著に残っていることです。
まずは、常連客の多さ。観光客をほとんど意識していない年間スケジュールは、いくつかの括りに分けて年間席として、ほぼ決まったファミリーに買い取られ、それぞれの公演の席には、ほぼ決まった顔ぶれが並びます。常連客が多い分、チケットがあまり外部に流通しないのです。(例えばミラノのスカラ座や、ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場にもその流れは残っていますが、それでもその鑑賞の機会、つまりチケットはいろいろな伝手で手に入ります。その意味で、シチリアの歌劇場のチケット入手はスカラ座の場合より難しいかもしれません。)
次に雰囲気。公演前の劇場周辺は、イタリアらしく着飾った地元の紳士淑女で華やぐわけですが、この華やぎは、最近のウィーン国立歌劇場のような崩れ方もなく、ビシっと決まっています。これを見ると、社交場というのはこういうことなのかと得心させられます。
そして、劇場の中。ここからがちょっと他の劇場では見られない光景なのですが、着席のあとでも、劇場にとって大切なお客さん、例えばパトロンや地元の政治家、名士(実力者)といった人が現れると、『(劇場にとって)大切な方が来たから、ちょっと席を替わってください』ということで席を替わらされる人がいることです。(外国人にはさすがに言わないようですが。)
それからおしゃべり。イタリア人のおしゃべり好きは有名で、紳士であろうが、淑女であろうが関係ありませんから、当然劇場の中でもそれは収まりません。例えば開演前にふとしたことから言い争いが始まった場合、開演後は我慢しているかというと、そうではありません。さすがに上演中は一時中断となりますが、休憩時間になると、文字通り口角泡飛ばして議論の続きが飛び交います。それでも双方譲らない場合、最後はどうなるかというと、“折角オペラの雰囲気を楽しみにきたのに、あんたのせいで気分を害したから、わたしは帰る!”といって一人が席を立ち、すると相手のほうも“なによ冗談じゃない!”といって、両方とも劇場を出て行ってしまうということになります。(この劇場の中の出来事は数年前に、当社のツアーが 行ったときに実際に起こったことです。)
また、歌手の調子が悪かったり、演出が気に入らないと(保守的な地盤のシチリアでは、ドイツやスイスで顕著な“斬新な”とか“先鋭な”演出は、あまり受け入れられません。)
観客席は、それは大変な騒ぎになるそうです。その代わり、良いオペラと認められれば、それはそれは暖かい賛辞が贈られます。
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